[ペダル開発秘話4] ブースター最上位モデルViolence Booster MK-Xの誕生

こんにちは、KENZOです。
今回は、9月末にリリースしたViolence Booster MK-Xの誕生秘話をお話します。

 初代Violence Boosterをリリースしてから早くも4年が経ちました。ありがたいことに、多くのアーティストの皆様をはじめ、さまざまなプレイヤーの方々にさまざまなシーンでご愛用いただいております。
新作のViolence Booster MK-Xは、「ブースト」という非常にシンプルな動作をValkyrie Spearなりにさらに突き詰め、音質と機能性を進化させたクリーンブースターの最上位モデルです。その2つの新機能と外観デザインに関して詳しく解説していきます。

 まずはブースト時の音質へのこだわりと、Brightnessコントロール機能について説明します。
一般的にブーストさせるレベルはライブ会場の規模や機材の状況、用途によって異なるかと思います。箱が大きくなればある程度、大きなブースト量も必要となってくると考えられます。

一例としてセッション中に音抜けを良くするためにギターのメインとなるミッドの帯域を中心に一定のブースト量で増幅させたいという場合があるかと思います。

その際、必要な帯域以外の上下の周波数帯域も、よほど急峻なフィルターを入れていない限りは必然的に影響を受けて持ち上がる傾向があると考えられます。

周波数レンジごとの聴感上の聞こえ方の目安として、一般的な「ラウドネス曲線」のグラフ(説明はここでは割愛します)に基づくと、特にトレブルレンジの2kHz〜5kHz付近は他の帯域に比べて、非常に耳に聴こえやすいことがわかります(赤色の曲線にて1kHzを基準としたときに凹んでいる部分が耳に聴こえやすい帯域)。

また、楽器や機材依存の観点では、シングルピックアップや音抜けの良いアンプなどの機材やセッティングによっては、トレブルだけでなくプレゼンスレンジも含む5kHz〜15kHzあたりが強調されることもあります。そのため、ブースト時の音色バランスには細心の注意を払わないと、ペダルでのブーストレベルによってはハイ上がりで耳につく音に聴こえたりと音色が原音から大きく崩れる可能性があると考えられます。

Valkyrie Spearのコンセプトとしては、ブースト時の音の質感やレンジ感はギターや機材によって異なると考えてますので、一概にミッドブースト的な中域だけに特化した山型の周波数特性にしすぎると、竿やピックアップ、機材によってはギターやベース、ペダルがもっている本来の艶やかさや解像度、キレやハリが損なわれるのではないかと考えています。
そこで、Violence Booster MK-Xでは「ワンノブのブースター」という基本コンセプト仕様を軸にしつつ、音を一度調整したら変わらないようにつまみではなく側面にBrightness Control用のトリマを追加しました。

この機能を活用することで現場でのブースト量やお使いの竿、機材との相性に合わせて、トレブル・プレゼンスレンジのみをお好みの強さに微調整することが可能となります。
内部のフィルター回路としてはシンプルなローパスフィルターとなっておりまして、様々なシチュエーションでも調整が行き届くようにMin位置ではより1kHz付近まで削っていける程度にしています。また、抵抗コンデンサーの定数決めにもこだわっていて、フィルターを入れた場合でも原音の太さやハリのニュアンスをできる限り崩さずぬよう抵抗の値はできる限り小さくしたフィルター設計としています。

このBrightness調整機能をうまく使いこなすことよって高いブーストレベルのシチュエーションでも原音の質感を損なうことなく、ナチュラルで上質なブーストを実現できると考えています。

セッティングの目安としては、最初にBrightness Controlトリマを最大(Max)に設定し、ハイが強すぎると感じた場合のみトリマを絞って調整していく方法をおすすめします。

 次に、内部ゲイン切替DIPスイッチによるユニティゲイン対応(バッファー機能)について説明します。この機能は、青色のバッファーモデルViolence Buffer Exから継承されたもので、つまみを最小に設定した際のゲインをユニティゲイン(0dB)に固定し、バッファーとして動作させるものです。

エフェクターボードや卓側の都合でトータルゲインを上げられない場合でも、内部のゲイン切替DIPスイッチをLow Gain(0dB)側に切り替えることで、ゲインを上げることなく、音をシャキッと際立たせ、レンジ感や艶感を向上させることが可能です。
ゲインスイッチによって、音色には若干の違いがあるため、どちらの設定がお好みか試しながら調整してください。特に、ゲインをあまり上げたくないベーシストの方には、このバッファー機能を有効活用していただけると思います。

最後に、デザイン面についてお話しします。青色LEDのインジケーターには特にこだわりました。前作Violence Booster MK IIのLEDインジケーターで採用した、ノブ部分が裏側からぼんやりと光るデザインを継承しつつ、他のペダルとは異なる個性的な光り方にブラッシュアップしました。外見からは伝わりにくいかもしれませんが、こだわりという意味で内部構造にコストが結構かかっている仕様なのです(笑)。

また、ケースに描かれた騎士ヴァルキリーは、Valkyrie Spearブランドの象徴としてデザインしています。激しい戦いを経て凱旋する姿をイメージしました。

以上がViolence Booster MK-X誕生の裏話となります。

直近の導入事例としてはPertit Brabancon、MUCCのギタリストとして活躍中のミヤ氏、Adoさんの全国ツアーなどで活躍されているギタリスト高慶”CO-K”卓史氏の最新ペダルボードにViolence Booster MK-Xを導入頂きましたので紹介させて頂きます。(当ウェブページでも詳しく紹介しています)

Petit Brabancon/MUCC ミヤ氏
Tour 2024 BURST CITY(9/15〜 GORILLA HALL OSAKA)にて使用
高慶”CO-K”卓史氏ペダルボード
Ado JAPAN TOUR 2024『モナ・リザの横顔』
にて使用

実は、ミヤ氏とのエピソードとして、Violence Booster MK-Xの音がようやく完成した直後の9月13日、この新作ブースターを紹介するためにミヤ氏とやりとりをしていました。その際、2日後の9月15日にGORILLA HALL OSAKAで行われるPetit Brabanconのツアーで、リハーサルまでにこの出来たてのペダルが間に合えば試していただけることになりました。宅配便では間に合わないため、当日、車で会場へ向かいハンドキャリーで直接お渡ししてなんとかリハに間に合い、試して頂きました。

結果としてありがたいことにペダルボードに組み込んでいただき、本番でもリード用のブースターとして使用していただきました。とても驚いたのが、本番が終わった夜にペダルの印象やレビューを細かくフィードバックして下さったのです。この出来事は私にとって非常に印象深いものであり、多忙なスケジュールの中でも音を追求するために本番ギリギリまでペダルを試して、すぐにフィードバックまでくださるミヤ氏には心から感謝するとともに、その音に対するストイックさに深く感銘を受けました。

ぜひこの記事を読んでくださった方には店頭で試奏頂き、私の音へのこだわりを耳で感じてほしいと思います。

YouTubeにも試奏動画を挙げていますので参考にして頂ければと思います。

 最後に、このモデルが完成したのは、これまでValkyrie Spearのペダルを愛用してくださった皆様のおかげです。皆様に育てていただいたと言っても過言ではありません。心から感謝申し上げるとともに、今後ともValkyrie Spearをよろしくお願い致します。


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